弁済業務保証金制度の趣旨から解説していきます。
1.弁済業務保証金制度の趣旨
宅建業法は、営業保証金制度の他にさらに弁済業務保証金制度を設けています。
その理由は、営業保証金制度では、事務所を設けるためには少なくとも1,000万円を用意する必要があり、これは多くの宅建業者にとって負担だからです。
<弁済業務保証金制度の仕組み>
~宅建業者~
宅建業者は、保証協会へ加入し、その社員となる。その際、一定の額を負担します。
これを弁済業務保証金分担金といいます。
~保証協会~
保証協会は、社員である宅建業者から集めた分担金を法務大臣および国土交通大臣の定める供託所に供託する。
~一般購入者~
損害を受けた一般購入者は、供託所から弁済を受けることができる。
2.弁済業務保証金分担金の納付と弁済業務保証金の供託
営業保証金制度の場合は、宅建業者が直接供託所に供託します。
それに対して、弁済業務保証金制度の場合には、保証協会が供託所に供託し、宅建業者は保証協会に弁済業務保証金分担金を納付します。
(1)弁済業務保証金分担金の納付
①新たに保証協会に加入する場合
まず、宅建業者は、保証協会に加入しようとする日までに、弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しなければなりません。
分担金として納付する額は、主たる事務所につき60万円、従たる事務所については、1か所ごとに30万円で計算した合計額です。
これは、営業保証金と違い、現金のみで納付しなければなりません。
②事務所を増設する場合
宅建業者が社員となった以後に、新しく事務所を設けた場合には、その日から2週間以内に弁済業務保証金分担金として、事務所1か所ごとに30万円を保証協会へ納付しなければなりません。
もし、宅建業者が期間内に納付しないと、社員たる地位を失うことになります。
(2)弁済業務保証金の供託
保証協会は、宅建業者から弁済業務保証金分担金の納付を受けたときは、その日から1週間以内に、その納付額に相当する額の弁済業務保証金を、法務大臣および国土交通大臣の定める供託所に供託しなければなりません。
この保証協会が供託する場合の方法は、金銭のみならず、有価証券のみ、または金銭と有価証券の併用でも問題ありません。
また、法務大臣および国土交通大臣の定める供託所とは、具体的には東京法務局を指しています。
備考:宅建においてこの章は重要です。納付と供託を混同してしまわないように注意しましょう。