物権:対抗要件・混同

ここでは物権におけるその対抗要件と混同について解説します。

 

1.対抗要件

①不動産物権変動の対抗要件

不動産に関する物権の得喪(とくそう:物権の主体を基準としてその主体に物権の附着すること及び離脱すること)および変更は、その登記をしなければ、第三者に対抗することができません。

②動産物権変動の対抗要件

動産に関する物権の得喪および変更は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することはできません。

ここでの「引渡し」とは、物理的な現実の引渡しに限らず、引渡しの合意のみによって認められる場合もあります。

 

2.混同

①混同とは

混同とは、2つの物権が同じ人に帰属して、両方とも残しておく意味がない場合に、その両方または一方が消滅することをいいます。

例を挙げると、土地の抵当権者が土地を買い受けて所有者にもなった場合、抵当権は保存する実益がないので消滅します。

②混同の例外

同一人に帰した2つの物権を残しておく意味がある場合、混同によっても物権は消滅しません。

意味がある場合とは、例えば、物または物権が第三者の権利の目的となっている場合です。土地に1番と2番の2つの抵当権がある場合、土地所有者と1番抵当権が混同しても、土地が2番抵当権の目的ともなっており、その順位上昇を防ぐ実益があるので、1番抵当権は消滅しません。

ちなみに上記のような例で、2番抵当権と所有権が混同したときは、2番抵当権は保存する実益がないので消滅します。

 

備考:宅建におけるこの章の重要度は、やや高めです。

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