担保責任には全部で6種類ありますが、ここでは3種類について解説します。
その3種類とは、
・一部他人物売買における売主の担保責任
・数量支持売での数量不足、物の一部滅失に関する売主の担保責任
・地上権などによる制限がある場合の売主の担保責任
この3種類となっております。残り2種類に関しましては、次の章で解説します。
1.一部他人売買における売主の担保責任
まずどういうことを言っているかというと、売買契約の目的物の一部が、売主以外の第三者の所有物である場合のことを意味しています(具体例としては、家の中のピアノだけが第三者の物である場合など)。
この一部他人物売買における売主の担保責任においても、場合分けが必要ですので、表にしてまとめてみました。
あくまで、買主の視点から見ていきましょう。
代金減額請求 | 損害賠償請求 | 契約解除 | |
善意 | ○ | ○ | △ |
悪意 | ○ | × | × |
○・・・可能 △・・・条件付で可能 ×・・・不可能
善意:契約解除の欄で△とありますが、これは、残存部分のみでは購入しなかったような場合に限られるということです。
さきほどピアノを例に挙げましたが、その場合においては、ピアノがない状態では購入しなかった場合ということです。
また、これらの権利を行使する期間も定められていて、買主が善意か悪意かで変わってきます。
~行使できる期間~
善意の買主:事実を知った時から1年以内
悪意の買主:契約時から1年以内
2.数量指示売買での数量不足、物の一部滅失に関する売主の担保責任
数量指示売買での数量不足というのは、例えば、5坪を1坪100万円で500万円支払ったけど、3坪しか実際はなかったときなどのことを言います。
そして、物の一部滅失とは、例えば、目的物の建物の物置が全焼してしまった場合のことなどを言います。
これも、買主が善意か悪意かで分かれるので、見ていきましょう。
代金減額請求 | 損害賠償請求 | 契約解除 | |
善意 | ○ | ○ | △ |
悪意 | × | × | × |
○・・・可能 △・・・条件付で可能 ×・・・不可能
解除のところで△とありますが、これは一部他人物売買と同じように、残存部分のみでは購入しなかったような場合に可能となります。
例にした物置を当てはめるならば、物置無しでは購入しなかった場合ということですね。
また、悪意の買主はなにもできません。だって、悪意ということは、すでに数量不足や一部滅失を知っていたわけですから、保護する必要などありません。
ちなみに、権利を行使できる期間は、事実を知ったときから1年以内ということになっています(もちろん善意の買主オンリー)。
3.地上権などによる制限がある場合の売主の担保責任
要は、売買契約の目的物に何か権利が付随していて、完全にその目的物を使用できない場合に、買主が売主に対して、どのような請求ができるのか?ということです。
これももちろん、買主が善意か悪意かで分かれてきます。
契約解除 | 損害賠償請求 | |
善意 | △ | ○ |
悪意 | × | × |
○・・・可能 △・・・条件付で可能 ×・・・不可能
契約解除で△とありますが、これは、売買契約の目的を達成できないような場合に限ります。
具体例としては、例えば目的物の建物には留置権が設定してあって、何かしようとしても、留置権がそれを邪魔して、何もできない場合です。
また、権利が行使できる期間としては、事実を知ったときから1年以内となっています(もちろん善意の買主オンリー)。
備考:宅建におけるこの章の重要度は高めです。