売買契約:売主の担保責任Ⅲ

残り2種類の担保責任について解説していきます。

 

1.抵当権などによる制限がある場合の売主の担保責任 

売買契約の目的物に、抵当権や先取特権といった権利が設定されていると、売主が債権者に対する債務を弁済しないと、その目的物が競売にかけられ、買主が、所有権を失ってしまう恐れがあります。

こういった一連の動きの中で、果たして買主が売主に対して、どういう請求ができるのでしょうか?

場合①:抵当権などが実行されて所有権を失った買主ができる請求

もし、所有権を失った買主がこの抵当権の存在について悪意であっても善意であっても売主に対して、契約解除および損害賠償請求をすることができます。

場合②:抵当権などが実行されるまでに買主ができる請求

今度は抵当権などが実行される前の話です。このような場合にできる買主の請求には次のようなものがあります。

(1)代金支払いの拒絶

買主は、抵当権消滅請求が終わるまでは、売主に対して代金支払いを拒絶することができます。

(2)償還請求・損害賠償請求

償還とはすなわち返還と同義です。

買主は、善意・悪意に関係なく、担保権者に支払いをして、その所有権を保存したときは、売主に対して、その費用の償還を請求することができますし、損害が生じた場合には損害賠償請求をすることもできます。

ちなみに、このような(1)・(2)の権利を行使する期間に関しては制限はありません

 

2.瑕疵担保責任 権利の種類とその要件

瑕疵とは、欠陥を意味しています。

例えば、ある建物を買った買主が、後にそれが欠陥だらけだったことを知ったときに、さてどうする?ということです。

このような場合、後に気づくような欠陥であったわけですから、当然それは「隠れた瑕疵」ということになり、買主は善意無過失であるといえます。

そして、善意無過失の買主は、契約解除損害賠償請求ができます。

なお、解除ができるのは、売買契約の目的を達成できないような時に限られます。直近の過去問でも、この限定的な条件というのは頻出ですので、しっかり覚えおきましょう。

ちなみに、権利の行使期間は、瑕疵の事実を知ってから1年以内です。

 

以上で、担保責任の6種類の解説を終わらさせて頂きます。

 

備考:宅建においてこの章は重要度が高いです。

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