まずは基礎の基礎である語義の確認からしていきましょう。
そもそも転貸とは、目的物を第三者にまた貸しすることをいいます。 そして、また貸しされることを転借といいます。
そして、賃借人が、第三者に対してまた貸しする契約を転貸借契約といいます。
ここで、まずは事例を一つ。
Aさん所有の建物について、AさんとBさんとの間で賃貸借契約が結ばれました。その後、BさんはCさんに対して、目的物であるその建物の賃借権を譲渡し、またはその建物を転貸したとします。 |
さて、この文章の中での登場人物はAさん、Bさん、Cさんの3人です。
それぞれの立場を見ていくと、
Aさん:賃貸人
Bさん:賃借人、譲渡人、転貸人
Cさん:譲受人:転借人
ということになります。
Bさんなんて3つの役割があって、「なにこれ?」と思われるかもしれませんが、大したことはありません。要は、Aさんから借りたから賃借人、そしてCさんにまた貸しした、または賃借権を譲渡したから、転貸人または譲渡人。はい、これだけのことです。
では、ここでの章の本題は「賃借権の譲渡・目的物の転貸」ですが、果たして、この2つの違いとはなんなのでしょうか?
それは賃借人、すなわちBさんが、譲渡、転貸後も、依然として賃借人の地位にとどまるかという点にあります。
そして、2つの場合における答えは、下記のようになっています。
賃借人の譲渡:とどまらない
目的物の転貸;とどまる
譲渡ということは、もはや賃借人ではなくなってしまい、例で言うとAさんとCさんの関係になるのですが、一方転貸つまりまた貸しをしただけだと、あくまで目的物を第三者に貸しただけであって、賃貸人と賃借人、すなわちAさんとBさんの関係は続くということになります。
備考:宅建において、この章は基本みたいなものですので、しっかり覚えましょう。