自己の所有に属さない物件とは何のことを指しているのでしょうか?
1.規定の趣旨
この自己の所有に属さない物件とはすなわち、
①民法でいう他人物売買で取引された宅地・建物
②宅地造成中の土地や建築途中の構造物など(つまり未完成物件のこと)
これらを意味しています。
では、これらを宅建業者が自ら売主となって取引した場合を考えてみましょう。
他人物売買の契約は、民法上有効であっても、履行がなされる確実な保証はありません。
さらに、未完成物件についても、予定通り完成しない場合があります。
このような場合、一般購入者は損害を被るおそれが大きいと言えます。
そこで、宅建業法では、自己の所有に属しない宅地・建物について、原則として自ら売主となる売買契約を締結してはならないとしました。
2.制限の原則
宅建業者は自己の所有に属しない宅地・建物について、自ら売主となる売買契約を締結することは、原則として禁止しています。
3.制限の例外
ただし、次の場合には、自ら売主となる売買契約を締結することができます。
~他人物の場合~
①宅建業者が物件を取得する契約(予約を含む)を締結しているとき
②宅建業者が物件を取得することが明らかな場合で、国土交通省令で定めるとき
~未完成物件の場合~
・宅建業者が手付金などの保全措置をとった場合
備考:宅建においてこの章は重要です。