保証債務には、付従性、随伴性、補充性という3つの性質があります。
1.付従性
(1)付従性とは
付従性とは、
①主債務が存在しなければ、保証債務は成立せず、
②保証債務は主債務よりも重くなることはなく、
③主債務が消滅すれば、保証債務も消滅する、
ということです。
保証債務は、その内容や態様において、主債務より軽くなることは差し支えありません。
例えば、主債務が1,000万円に対し、保証債務が500万円という場合です。
しかし、保証債務が、主債務よりも重くなってしまってはいけません。仮に、保証債務の内容が、主債務よりも重くなってしまう時は、主債務と同等となります。
(2)保証債務の範囲
主債務が重くなった場合に、保証債務もそれに伴って重くなることはありません。
なぜなら、保証人はあくまで当初の債務の範囲内で保証することを同意したにすぎないからです。
もっとも、当初の主債務に関する利息、違約金、損害賠償などは保証債務に含まれます。
また、保証債務についてのみ、違約金、または損害賠償額を約定することもできます。
2.随伴性
随伴性とは、主債務が債権者から第三者に移転すれば、保証債務も一緒に移転することをいいます。
例えば、債権者がその債権を第三者に譲り渡したときは、債権を譲り受けた人は、保証人に対して保証債務の履行を請求することができます。
3.補充性
補充性とは、保証人はあくまで、主債務者が約束を守らなかったときに初めて負う責任を負うことを言います。
この性質の具現化として、催告の抗弁権と検索の抗弁権があります。
(1)催告の抗弁権
催告の抗弁権とは、債務者が主債務者に請求せず、いきなり保証人に請求してきたとき、
「まずは、主債務者に請求してください。」
と言える権利のことです。
保証人は原則として、この催告の抗弁権を行使することができます。
しかし、2つの例外があります。
①主債務者が破産手続開始決定を受けたとき
②主債務者の行方がわからないとき
この2つについては、催告の抗弁権を行使することはできません。
(2)検索の抗弁権
検索の抗弁権とは、債権者が主債務者に請求した後でも、保証人は、
「まずは、主債務者の財産について執行してください。」
と言って、債権者の請求を拒むことができる権利のことです。
この抗弁権を行使するためには、保証人は2点証明しなければならないことがあります。
①主債務者に弁済の資力があること
②その執行が容易なこと
これが、その2点です。