物権変動:重要な物権変動のパターンⅢ(相続と登記)

続いては「相続と登記」における物権変動の解説です

 

①共同相続と登記

Aさんが死亡し、その子供のBさんとCさんが、土地を共同相続しました。そして、Cさんは、遺産分割前に、その土地について自己名義の登記をしました。Cさんは、その後、その土地をDさんに譲渡し、登記も移転しました。

上記の例で問題となるのは、はたしてBさんは、Dさんに対して、登記なくして自分の持分を対抗することが出来るのか?ということになります。

正解からいいますと、これは対抗できます

共同相続であるため、BさんとCさんはそれぞれ自己の土地を使用できる権利を持っています。さらに、これは互いにその権利を侵害することはできません。

よって、CさんはBさんの土地については無権利であり、とどのつまり、Cさんからその土地を譲渡されたDさんも無権利ということになります。

ただし、もともとCさんの土地であった分に関しては、Dさんは使用することはできます。 

 

②相続放棄と登記

Aさんが死亡し、その子供のBさんとCさんが土地を共同相続しましたが、Cさんが相続放棄をしたため、Bさんがその土地を単独相続することになりました。

ところがBさんが登記をしないでいるうちに、Cさんは、自己の持分であった部分をDさんに譲渡し、Dさんが登記をしてしまいました。

上記の例で問題となるのは、BさんがDさんに対して、その土地の全部分について所有権を主張できるのか?ということです。

ここで注目して欲しいのが、Cさんが相続放棄をしている点です。

相続放棄をしているということは、その時点で、Cさんは初めからなにも所有していなかったという状態に戻ります。つまり、Cさんは無権利者です。

そんな状態でDさんに土地を譲渡しても、Dさん自体も無権利者です。

よって、BさんはDさんに対して、登記なくして土地の全部分についてその所有権を対抗することができます

 

③遺産分割と相続

Aさんが死亡し、その子供のBさんとCさんが土地を共同相続しました。そして、遺産分割の協議によって、Bさんが土地を単独で所有することになりました。しかし、Bさんが登記をしないでいたところ、Cさんが、自己の持分をDさんに譲渡してしまい、さらにDさんは登記をしてしまいました。

上記の例を考えていく前に、まず遺産分割について知りましょう。

遺産分割協議が行われ、結論が出ると、その効力は、相続開始時にさかのぼります。

つまり、上記の例で言うと、Bさんが初めからその土地を単独で相続していた、ということになります。ということは、Cさんには何も権利がありません。

しかし、遺産分割協議をしたことで登記をすることも可能であるので、遺産分割後に登記をしなかった人に不利益が出ても、その人に落ち度があります。

すなわち、Bさんに落ち度があるのです。

このような場合、早い者勝ちの法則で、登記の前後によって解決となります。

だから、上記の例では、Dさんが先に登記を済ませてしまったので、BさんはDさんに対して所有権を主張することは出来ません。

 

備考:宅建において、この分野の重要度は高めです。

 

 

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