担保物権のひとつ、質権の解説です。
宅建の中での重要度は、留置権や先取特権と同じくらいです。
1.質権とは
AさんはBさんにお金を借りようと思い、借金の担保に自分の時計をBさんに引き渡しました。
ここでBさんには留置権が生じます。
さらにAさんが借金を返せない状態になってしまいました。
その場合、BさんはAさんの時計を競売して、その売却代金を借金の返済にあてることができます。
この権利を質権といいます。
また質権は、契約によって発生する約定担保物権です。
2.質権の性質
質権にも先取特権と同様に、付従性、随伴性、不可分性、物上代位性のすべてが認められています。
3.質権の目的物
質権の対象となる目的物は、動産、不動産、権利などの財産価値があって、譲渡可能なものです。
なお、
動産を対象とする質権→動産質
不動産を対象とする質権→質不動産
権利を対象とする質権→権利質
それぞれこのようなネーミングになっています。
宅建では用語を覚えることは必須のことなので、しっかり頭に入れましょう。
4.質権の成立
質権の効力が生じるためには原則として、当事者の合意のほかに、質権の目的物を質権者に引き渡すことが必要です。
つまりは、要物契約ということですね。
ただし例外的に、債権の質権設定については原則として証書の交付を成立要件としません。
債権者は、債務者との間だけではなく、債務者以外の第三者と質権設定契約を交わすことも可能です。
5.質権の効力
質権には、留置的効力、優先弁済的効力が認められます。
留置的効力を有する点で抵当権、先取特権と異なり、優先弁済的効力を有する点で留置権と異なります。
以上が宅建においての質権の解説です。
まだ宅建における担保物権には抵当権がありますが、それは次の章で解説していきます。