総論Ⅰで、意思表示の問題の概要はわかったと思います。
しかし、ここであるひとつの疑問が浮かび上がってきませんか?
それは、第三者が介入した場合どうなるのか?ということです。
例を挙げて説明したいと思います。
ここにAさん、Bさん、Cさんという3人の人がいました。
AさんとBさんの間で、Aさんの家の売買契約が締結され、その後、BさんがAさんから買った家をCさんに売りました。
ところが、AさんとBさんとの売買契約が無効になってしまいました。
この場合、AさんとBさんとの間で契約がなかったことになるので、BさんはCさんに他人の家を売ってしまったことになります。
ここで問題が生じます。
それは、その家がAさんのものなのか、Cさんのものなのかという問題です。
このような状態でのCさんのことを「第三者」と言います。
なお、この場合の表意者(無効や取り消しの原因となる意思を表示した人のこと)はAさんということになります。
民法ではこの場合、次のように解決してあります。
まず、第三者が契約が無効であるということを知っていたかどうかで分けます。
宅建では、知っているということを「悪意」、知らないということを「善意」という独特の言い方をします。
なお、日常における害意の有無とは、まったく関係がありません。
要は「知っているか知っていないか。」これらの単語はそれだけのことです。
では、話を本題に戻します。
第三者が、事情を知っている(悪意の)場合、すべての意思表示の無効や取り消しの主張(対抗)することができます。
そして、事情を知らない(善意の)第三者との関係は、契約や引渡しといったそれぞれの場面で解決が異なるとします。
さらに取り消しについては、第三者が現れた時期が取り消しの前か後ろかでも解決が異なるとします。
詳しくは、後の章にて触れます。
とりあえず、概要を次のようにまとめてみました。
~第三者の介入~
・第三者が知っている(悪意の)場合、契約はすべて無効!
・第三者が知らなかった(善意の)場合、さらに細かく分類される!
以上のようになるかと思われます。
この分野らへんから、宅建独自の言葉が出てきているので、注意が必要です。
早いうちに慣れてしまいましょう。