借地の上にある建物が無くなってしまったときのお話です。
1.最初の存続期間の途中で滅失した場合
ここでまず重要なのは、たとえ借地上の建物が滅失しても、借地権は滅失しないということです。これをまずは前提条件として覚えておいてください。
では、一度建物が滅失した借地に借地権者は新たに建物を建てれるのか?という疑問がありますが、これは建てれます。そして、少なくとも期間満了までは借地権を行使することできます。
しかし、その期間が終わってしまった時は、一定の場合には建物の再築に伴って借地期間が延長されます。
① 再築の承諾による存続期間の延長
借地権者が借地契約の残存期間を超えて存続する建物を再築した場合、これに対する借地権設定者の承諾があれば、借地権の存続期間が延長されます。
② 再築の通知による存続期間の延長
借地権者が、借地権設定者に建物を再築する旨の通知をし、これに対して、借地権設定者が、2ヶ月以内に異議を申し立てない場合は、承諾があったものとみなします。
ただ、ちゃんと借地権者が通知をすることが前提で、通知をしなくて2ヶ月経っても、それは承諾されたものにはなりません。
③ 建物再築による延長後の存続期間
延長後の存続期間は、承諾の日、または再築の日のいずれか早い日から20年です。
ただし、当事者がこれより長い期間を定めた場合は、それに従います。
①、②、③をまとめるとつまり、①で建物を再築したことに対する承諾が得られなくても、その後通知をして、2ヶ月たっても異議が無い場合は、承諾または再築のいずれか早い日から20年存続することになります。
逆に異議がある場合、または通知しなかった場合は、当初の契約期間をもって終了となり、その後更新の作業に入ります。
2.更新後に滅失した場合
① 再築の承諾による存続期間の延長
建物の再築について借地権設定者の承諾があれば、最初の存続期間における場合と同様、更新後の存続期間における場合と同様、更新後の存続期間が延長されます。
なお、借地権者の再築にやむを得ない事情があるにもかかわらず、借地権設定者が再築を承諾しない場合は、代わって裁判所が、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができます。
これを代諾許可といいます。
この代諾許可は、最初の存続期間の途中で滅失した場合には、適用されません。
② 当事者の請求による借地権の消滅
ここでいう当事者とは、借地権者(借主)と借地権設定者(地主)の二人です。
a.借地権設定者による借地権の消滅請求
借地権者が借地権者の承諾を得ずに建物を差移築した場合は、借地権設定者は、地上権の滅失又は賃貸借の解約の申し入れをすることができます。
この場合には、申し入れから3ヶ月を経過することによって借地権は消滅することになります。
b.借地権者による借地権の消滅請求
借地権者は、建物を再築せずに、地上権の放棄または賃貸者の解約の申し入れをすることができます。前述のように、借地権設定者の承諾がなければ、建物を再築することができないので、更地の賃料の負担から借地権者を解放するためです。
この場合も、申し入れから3ヶ月を経過することによって借地権は消滅します。
備考:宅建においてこの章の重要度は高いです。そして、この章のポイントは上記の1と2のように場合分けした場合、再築に関する事柄が全く異なる点です。
しっかり理解して、宅建の問題集や過去問を解いて、精度を上げましょう。