宅建では語句の理解も必須ですから、まずは造作という言葉を理解していきましょう。
造作とは、建物に付加された物件で、賃借人の属し、かつ、建物の使用に客観的便益を与えるものをいいます。
客観的便益とは、つまり客観的に見て役に立ちそうと思われるということを意味しています。
例としては、建物が住宅であれば、畳、建具。営業用建物であれば、陳列棚、カウンターなどのことです。
では問題の、造作買取請求権の概要を知りましょう。
この造作買取請求請求権とは、賃貸人の同意を得て付加した造作については、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間満了、または解約申し入れによって終了するときに、賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができます。
また、転借人も、賃借人と同様に、賃貸人に対する造作買取請求権があります。
造作買取請求権を行使した場合、賃貸人と賃借人(転借人)との間に造作の売買契約が成立したのと同じ法律関係が生じます。
ちなみに、賃貸借契約が、債務不履行による解除によって終了となる場合は、賃借人は造作買取請求権を行使することはできません。
そして、造作買取請求権は当事者の特約で排除することが可能です。
あと、同時履行の抗弁権、留置権との関係にも触れておきましょう。
造作買取請求権は、造作に関して生じた債権であり、建物に関して生じた債券ではありません。
よって、造作の買取を請求した借家人は、造作代金の提供がないことを理由として、同時履行の抗弁権により建物の明け渡しを拒むことはできません。
また、造作代金の支払いを受けるまでという理由で、留置権を行使して建物を留置することもできません。
備考:宅建においてこの章は重要度が高いです。同時履行の抗弁権や留置権などに対して「なんだっけ?」って思う方は、一度復習をしてみるべきでしょう。その行為は、必ず宅建合格に繋がっていると思います。