宅建において、債務不履行の内容は非常に重要です。
ほぼ毎年試験に出題されているのが、それを物語っています。
1.債務不履行とは
債務不履行とは、債務者が、債務本来の趣旨、すなわち本旨に従った履行を行わないことをいいます。
例えば、Aさんが建物を、Bさんが自動車を1週間後に交換する約束をしました。
けれども、Aさんがボヤで建物を燃やしてしまいました。
これでは、Bさんは自動車を引き渡したくはないでしょう。
さらにBさんが自分のために家具の購入まで済ませていたら、その穴埋めもしてもらいたいと思うのが当然です。
そこで、その場合の責任を定めているのが債務不履行の規定です。
債務不履行には、
①履行遅滞
②履行不能
③不完全履行
の3種類がありますが、それぞれ後の章で解説します。
まずは概要を掴みましょう。
2.債務不履行の効果
債務不履行があると、原則として、債権者は、
①損害賠償請求
②強制執行
③契約の解除
ができます。
3.債務不履行に共通の要件
債務不履行が成立するためには、債務不履行の要件をすべて満たす必要があります。
そして、すべての債務不履行に共通の要件として原則的に要求されていることが2つ存在します。
①債務者に帰責事由があること
第1の要件として、債務不履行について、債務者または履行補助者に責任(帰責事由)があることが必要です。
履行補助者とは、例えば同居人や従業員のことです。
②債務不履行の状態が違法であること
第2の要件として、債務不履行の状態が違法であることが必要です。
もしも、相手が法的に正当な理由があれば、違法ではないので、債務不履行とはなりません。