弁済その他:相殺・免除・混同

ここでは、相殺・免除・混同について解説していきます。

 

1.相殺(そうさい)

(1)相殺とは

相殺とは、当事者がお互いに同じ種類の権利、義務を有する場合に、その権利、義務を対等額において消滅させる一方的な意思表示をいいます。

この場合に、相手方の承諾は必要ありません。

そして、相殺しようとする側の債権を自働債権といい、相殺される側の債権を受働債権を言います。

 

(2)相殺するための要件

①相殺適状(そうさつてきじょう)

次のa、b、c、dの要件を備えていることを相殺適状といいます。 

a.債権が有効に存在し、対立していること

ただし、受働債権が譲渡されたが、譲渡の通知がなされる以前に、相殺適状にあった場合や、時効によって消滅した自働債権が、その消滅以前に、相殺適状にあった場合であっても、債権者は、なお相殺することができます。

b.双方の債権が同じ種類であること

同種の債権であれば、履行地が違っても構いません。

c.自動債権が弁済期にあること

受働債権が弁済期になくても相殺することができます。

相殺をしようとするとする人は、自己が負っている債務の期限の利益を放棄することができるからです。

d.双方の債権が相殺を許す債権であること

相殺を許さない債務とは、例えば、労務の提供を目的とする債務のように、相互に現実の履行を必要とする債務等です。

また、自働債権同時履行の抗弁権がついている場合も相殺することはできません。

なぜなら、これを認めると、相手方の同時履行の抗弁権を一方的に奪うことになるからです。

ちなみに、同時履行の抗弁権とは、契約当事者が対価的な約束をした場合において、お互いに、相手方が履行義務を果たすまでは、事故も履行義務を果たさないと主張することができる権利をいいます。

②相殺禁止でないこと

a.当事者の合意で相殺が禁止されていないこと

なお、このような合意の存在を知らずに一方の債権を譲り受けた第三者は、相殺をすることができます。

b.法律上相殺が禁止されていないこと

例えば、不法行為による損賠償義務を負った債務者(加害者)は、その損害賠償義務を受動債権として相殺することはできません

ただし自働債権としては相殺できます。

その例としては、現実にお金をもらわなくてもいいと考える被害者が存在していることです。

 

2.免除

免除とは、債権者が、債務者に対して、一方的に債権を消滅させる意思表示です。

その意思表示をした時に、債権は消滅します。

 

3.混同

混同とは、同一債権の債権者の地位と債務者の地位が同一人物に帰属したような場合をいいます。

例えば、債権者が債務者の地位を相続によって取得したような場合などです。

混同が生じたときは、自分に対して債権を持っていても意味がないため、原則として、債権は消滅します。

 

 

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