まず、不法行為の概要から知っていきましょう。
1.不法行為制度とは
そもそも、不法行為制度とは、他人(=加害者)から法律上の理由もなく、被害者が損害を加えられたときに、その損害を賠償してもらうことをいいます。
これはあくまで、契約を結んでいるかなどは関係ありません(債務不履行での損害賠償は契約した当事者間のことでしたよね)。
そして、この制度の趣旨は、被害者の救済および損害の公平な分担にあります。
2.不法行為の主な要件
では、加害者が損害を賠償してもらうのに必要な要件とは?
それは加害者が責任能力を持つことです。
責任能力とは、加害者に不法行為責任を負わせるために、法律上要求される能力のことです。つまり、自分の行為が不法であって、責任が発生することを理解できる能力と言っていいでしょう。
しかし、加害者が一時的な責任無能力状態であっても、それが加害者自身の故意または過失によるものならば、賠償責任を負うことになります。
例を挙げると、飲酒運転での事故がわかりやすいかと思います。
この場合、酒を飲んで泥酔してしまってのことなので、加害者の故意または過失と言えます。
ちなみに、損害賠償の内容は、原則として金銭賠償です。
そして、賠償の対象には、財産的損害のみならず、精神的損害も含みます。
備考:宅建におけるこの章の重要度は高いです。