担保物権のひとつ、留置権の解説について解説します。
1.留置権とは
留置権については、例を挙げて説明します。
【例】
Aさんは、壊れた時計をBさんの時計店に修理に出しました。
店主のBさんはその時計を修理して、約束の日にやってきたAさんに修理代金の請求をしました。
ところが、Aさんは、
「修理代金は後で払うからとりあえず時計を渡してください。」
と言っています。
この場合、BさんはAさんから時計の修理代金の支払いを受けるまで、時計を留置して引渡しを拒むことができます。
このBさんの権利を、留置権といいます。
ちなみに、留置権は法定担保物権です。
2.留置権の性質
留置権には、付従性、随伴性、不可分性が認められていますが、物上代位性については認められていません。
物上代位性は、物の価値を把握して、そこから優先的に弁済を受ける権利に認められます。
しかし、留置権は、債務者に対して、履行することを間接的に強制するために債務者の物を現実に占有し続ける権利であって、物の価値を把握する権利ではありません。
これが、留置権に物上代位性が認められていない理由です。
3.留置権の要件
留置権は、債権を弁済してもらうために、物を留置する権利です。
したがって、物を留置することによって弁済が促されるような関係(牽連関係)にある債権が存在することが必要です。
例えば、建物の賃借人が建物の修繕費(必要費)や改造費(有益費)を支出した場合、その費用を返してもらう債権を確保するためであれば、建物自体を留置することはできます。
しかし、建物にそれと一体化するほどではない物(造作)を備え付けた場合には、造作の費用をかえしてもらう債権を担保するには造作だけを留置すれば足りるので、建物まで留置することはできません。
宅建主任者試験において、この留置権という分野はそれほど重要ではないのですが、宅建に合格するために抜かしてよいところはほぼないと考えてよいでしょう。
ですので、ここもまずは理解することを心がけてください。
問題を解くのはそれからで十分です。