物権変動:重要な物権変動のパターンⅣ(時効と登記)

最後は「時効と登記」についての物権変動を見ていきましょう。

 

①取得時効完成前に現れた第三者との関係

Aさんが、Bさん所有の土地を善意無過失で占有を開始し、取得時効期間の10年が満了したところ、時効完成前にBさんがその土地をCさんに売却し、登録名義をCさんに移転してしまっていました。

この場合、Aさんは、所有権の時効取得をCさんに対抗できるでしょうか?

占有者は、時効完成前に現れた第三者に対しては、当事者類似の関係にあるため、登記なくして、時効による取得を主張できます。

したがって、Aさんは、Cさんに対して、登記なく土地の所有権の取得を主張できます。

 

②時効完成後に現れた第三者との関係

Aさんが、Bさん所有の土地を善意無過失で占有を開始し、時効期間の10年が満了したところ、時効完成後にBさんが土地をCさんに売却してしまいました。

この場合、Aさんは、時効による所有権の取得をCさんに対抗できるでしょうか?

占有者は、時効完成後に現れた第三者との関係は、二重譲渡が行われたのと同様の関係ですから、登記なく時効による取得を対抗することは出来ません。

したがって、Aさんは、Cさんに対して、登記なくして土地の所有権の取得を対抗できません。

 

備考:宅建において、この章の重要度は高めです。

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