不法行為のその他の事項を見ていきましょう。
前の章で、不法行為に対する損害賠償について学びました。
今回はまず、さらに詳しく、過失相殺制度についてです。
なんかやたら難しい感じもしますが、要は賠償金額を減額することができる制度です。
これは、損害の公平な負担を目的としています。
例えば、赤信号で歩行者が渡って車に引かれたとします。この場合、歩行者にも落ち度があることは明白ですので、その落ち度の程度に関して賠償金額を減額できるといった仕組みになっています。
次に、損害賠償債務についてですが、これは、被害者救済の視点から、不法行為の時からすでに履行遅滞となっています。
また、不法行為による損害賠償請求権は、被害者、またはその法定代理人が、損害および加害者の存在を知った時から3年間有効です。ちなみに、損害および加害者のことをずっと知らなくても、20年が過ぎると、時効を迎えます。
そしてここは宅建で重要なポイントですが、債務不履行による損害賠償債務は、請求を受けたときから履行遅滞となります。
このように、不法行為と債務不履行を比較して覚えていくと、理解が深まるかと思います。
最後に、損害賠償請求権と相殺について解説します。
主な注意点としては、加害者からの相殺と被害者からの相殺の異なる点です。
<加害者からの相殺>
加害者は、自働債権を賃金返還請求権として、損害賠償請求権を受動債権として相殺することはできない。
<被害者からの相殺>
被害者は、損害賠償請求権を自働債権として、賃金返還請求権を受動債権として相殺することはできる。
ややまどろっこしいですが、つまり被害者の方が基本的に立場として強いとまずは覚えておきましょう。
備考:この章は、宅建における重要度が高いです。