建築基準法:集団規定:形態制限:建ぺい率Ⅰ

宅建で重要な集団規定、次は建ぺい率について解説します。

 

まず建ぺい率の意義から振り返りましょう。

建ぺい率とは、建築面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合は、その建築面積の合計)の敷地面積に対する割合をいいます。

そして、建築物の敷地の空間を確保することによって、居住環境の維持、向上を図るための制限です。

ちなみに、建築面積とは、建築物の外壁、またはこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積をいいます。

建ぺい率が大きくなればなるほど、敷地内の空間が狭くなり、建築物間の密集度が高くなります。

建ぺい率のイメージとしては、敷地に対してどのくらいの広さの1階部分を持つ建物が建てられるかを示す率、という感じでいいでしょう。

 

では、詳しい建ぺい率の制限の内容を見ていきましょう。

1.原則

※○/△というのは「○分の△」という分数を表しています。

用途地域など  原則的制限 

第一種、第二種低層住居専用地域

第一種、第二種中高層住居専用地域

工業専用地域

 3/10、4/10、5/10、6/10

第一種、第二種住居地域

準住居地域

準工業地域

 5/10、6/10、8/10
工業地域  5/106/10
近隣商業地域  6/108/10
商業地域  8/10

なお、容積率には、前面道路容積率というものもありましたが、建ぺい率にはそういった類のものはありません。

よって、都市計画で定める建ぺい率のみで、逆に言うと、前面道路に関してはあまり気にする必要はありません。

2.例外

①建ぺい率制限が緩和される場合

緩和される場合もあります。

どんなときかというと、例えば建築物の敷地が一定の角地であるような、自然環境上、防災観点上、既成を緩和しても不都合が生じにくい場合です。

建ぺい率制限の緩和はもちろん数値に付加されますので、また表に記します。

 用途地域    緩和される場合
 ①特定行政庁が指定 ②防火地域内で対価建築物  ①、②両方を満たす場合 

第一種、第二種住居専用地域

第一種、第二種住居専用地域

工業専用地域

  +1/10    +1/10    +2/10

第一種、第二種住居地域

準住居地域

準工業地域

  +1/10    +1/10    +2/10
工業地域   +1/10    +1/10    +2/10
近隣商業地域   +1/10    +1/10    +2/10
商業地域   +1/10    制限無し    制限無し
用途地域無指定区域   +1/10    +1/10    +1/10
都市計画区域、準都市計画区域 制限無し

都市計画で定める建ぺい率80%で、かつ、防火地域内の耐火建築物は、建ぺい率不適用(=制限無し)となる

②建ぺい率制限が適用されない場合

次の場所などでは、建ぺい率制限が適用されません。

・第一種、第二種住居地域、準住居地域、準工業地帯、近隣商業地域内で建ぺい率の限度が8/10とされている地域。または商業地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物

巡査派出所、公衆便所など

公園、広場、道路、川などの内にある建築物で、特定行政庁が安全上、防火上および衛生上支障がないものと認めて許可したもの

ちなみに容積率には、「制度が適用されない」という表現は存在しません。

 

3.建築物の敷地が、建ぺい率制限の異なる地域などにわたる場合

これは容積率のところでも似た解説がありましたが、それとほぼ同じです。

つまり、またがっている部分の土地は、その土地の建ぺい率を適用しましょうということです。

もちろん、その建築物の建ぺい率は、各部分の面積の敷地面積に対する割合(これを面積比といいます)を乗じて得たものでなければなりません。

 

備考:この章は宅建において重要です。建ぺい率の問題が宅建主任者試験で出題されるときは計算問題と思ってもらってかまいませんので、数値などしっかり覚えるようにしましょう!

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