ここでは2種類の公共施設の管理者が出てきます。
それぞれ同意まで得なくてはならないのか、それとも協議さえすればいいのかで異なるので注意しながら見ていきましょう。
1.申請の準備段階
①公共施設の管理者などとの協議など
申請者は、あらかじめ(申請前に)、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得、かつ、開発行為により新たに設置される公共施設を管理することとなる者等と協議しなくてはなりません。
②相当数の権利者の同意
申請者は、開発行為をしようとする土地など、またはこれらの土地にある建築物その他の工作物について、その開発行為の施行などの実施の妨げとなる権利を有する者の相当数の同意を得なければなりません。
よって、全員の同意を得る必要はありません。
2.申請の段階
申請者は、一定事項を記載した書面(開発許可申請書)を都道府県知事に提出しなければなりません。
その記載事項としては、
①開発区域の位置
②予定建築物などの用途
③開発行為に関する設計
④工事施行者等
それから、この申請書には、以下のような添付書類も必要です。
・開発区域の位置図、区域図
・関係公共施設の管理者の同意を得たことを称する書面
・設置される公共施設の管理者との協議の経過を示す書面
・権利者の相当数の同意を得たことを称する書面など
3.審査の段階
開発許可の申請がなされた場合に、許可するか不許可にするかは、都道府県知事の全くの自由裁量にゆだねられているわけではありません。
すなわち、市街化区域における開発行為については、33条に定める一定の許可基準(技術基準)を満たした場合には、知事は、許可をしなければなりません。
これに対して、市街化調整区域における開発行為については、33条の技術基準のほかに34条の許可基準(立地基準)をも満たしていなければ、知事は、許可を与えることができません。
4.処分の段階
①都道府県知事の処分
都道府県知事は、開発許可の申請があったときは、遅滞なく、許可または不許可の処分をし、文書によって通知しなければなりません。
②開発登録簿
都道府県知事は、開発許可をしたときは、許可にかかる土地について、一定事項を開発登録簿に登録しなければなりません。
都道府県知事は、開発登録簿を常に公衆の縦覧に供するように保管し、かつ、請求があったときは、その写しを交付しなければなりません。
開発登録簿の記載事項としては、
・開発許可の年月日
・予定建築物等の用途
・公共施設の種類、位置、及び区域
・上記以外の開発許可の内容
・用途地域の定められていない区域における開発行為をする場合について都道府県知事が定めた建築物の敷地、構造、設備に関する制限の内容
③建築物の建ぺい率等の指定
都道府県知事は、用途地域の定められていない土地の区域における開発行為について開発許可をする場合において、必要があると認めるときは、その開発区域内の土地について、建築物の建ぺい率、建築物の高さ、壁面尾位置その他建築物の敷地、構造及び設備に関する制限を定めることができます。
そして、制限が定められた場合は、建築物をこれらの制限に違反して建築することはできません。
ただし、都道府県知事が環境の保全上支障がないと認め、または公益上やむを得ないと認めて許可したときは、建築できます。
④不服申し立て
a. 審査請求
不許可処分について不服がある場合は、開発審査会に対して審査請求をすることができます。
そして、開発新再開は、審査請求を受理した日から2ヶ月以内に、裁決をしなければなりません。
b. 審査請求と取消訴訟の関係
開発行為の許可または不許可の処分の取消しの訴えは、処分についての審査請求に対する開発審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができません。
5.その他の手続
①一般承継人の承継
開発許可を受け者の相続人その他の一般承継人は、被承継人が有していた許可に基づく地位を承継します。
②特定承継人
開発許可を受けた者から開発区域内の土地の所有権、その他開発行為に関する工事を施工する権原(権利の発生する原因)を取得した者は、都道府県知事の承認を受けて、許可に基づく地位を承継することができます。
③開発行為の廃止
開発許可を受けた者は、開発行為に関する工事を廃止したときは、遅滞無く、その旨を都道府県知事に届出なくてはなりません。
④開発行為の変更
開発許可を受けた者は、開発行為の根威容を変更しようとする場合には、原則として、都道府県知事の許可を受けなければなりません。
例外として、変更の許可にかかる開発行為が、開発許可を要しない開発行為に該当するとき、または軽微な変更に該当するときは、許可は不要です。
なお、開発許可を受けた者が、軽微な変更をした場合は、遅滞無く、その旨を都道府県知事に届出なければなりません。
備考:宅建においてこの章の重要度は高いです。