無効と取消しは、「行為が無効になる」という最終的なところは共通しています。
しかし、その中身は宅建において、大きな違いがあります。
まず無効についてですが、これは法律行為をしてもその効力が発生しないことを言います。
また、無効は、誰でも主張できるのが原則です。
さらに、時間の経過によってその主張が制限されることもありません。
次に取消しですが、これは行為の最初にさかのぼって、その行為が無効となることを言います。
無効の場合と違って、取り消すことができる者は、限られています。
1.行為能力の制限に違反した場合の取消権者
制限行為能力を理由とする取消は、
①制限行為能力者
②その代理人
③その承継人(取消権を譲り受けた人のこと)
④同意権を有する者
に限って取り消すことができます。
2.詐欺・強迫がなされた場合の取消権者
詐欺、または、強迫を理由とする取消しは、
①瑕疵ある意思表示をした者
②その代理人
③その承継人
に限って取り消すことができます。
また取消権者は、行為を取り消さずに、確定的に有効なものにするため、追認をすることもできます。
追認をなしえる時期については以下の通りです。
・未成年の場合→成年に達した時から。
・強迫の場合→強迫がやんだ時から。
・詐欺の場合→詐欺にかかったことを知った時から。
それ以前にこれらの者が追認をしても無効です。
これらに対し、法定代理人、または制限行為能力者の保佐人または補助人が追認する場合は、いつでも追認することができます。
原則として、追認は、相手方に対する意思表示によって行います。
しかし、たとえ意思表示がなくても、追認をすることができる時以降に追認の意思に代わるべき事実があれば、追認したものとみなされます。
これを法定追認といいます。
法定追認を生じる事項として、以下の2つがあります。
①全部または一部の履行
②履行の請求など
①の例としては、取り消し得る売買契約に基づく目的物の引渡しまたは代金の受け渡し
②の例としては、取消権者が代金の支払いを請求すること
これらが具体例にあたります。
ちなみに、取消権には期間制限があります。
どのくらいの期間かというと、
①追認をすることができる時から5年間
②行為の時から20年間
となっています。
それぞれスタート地点が違いますので注意しましょう。