都市計画法:地区計画等Ⅱ(地区計画の概要)

まずは地区計画の概要から解説していきます。

 

地区計画とは、住民に密着した、地区単位の街づくりのことをいいます。

地域地区という都市計画に比べれば小規模な都市計画ですが、その分地区の実情を活かした、よりきめ細やかな配慮が必要となるので、地区計画は、小さな街づくりと覚えておくと、イメージしやすいかと思われます。

 

そして、地区計画を定めることのできる場所は、下記通りとなっています。

(1) 線引、または非線引にかかわらず、都市計画区域のうち用途地域が定めれている地域

(2)用途地域が定められていない土地の区域のうち、次のいずれかに該当する区域

① 住宅市街地の開発、その他建築物もしくはその敷地の整備に関する事業が行われるまたは行われた地域

② 建築物の建築またはその敷地の造成が無秩序に行われ、または行われると見込まれる一定の土地の区域で、公共施設の整備の状況、土地の利用状況の動向などみて、不良な街区の環境が形成されているおそれがある地域

③ 健全な住宅市街地における良好な居住環境その他優れた街区の環境が形成されている土地の区域

 

また、地区計画については、地区計画の種類、名称、位置、区域、および区域の面積を都市計画に定めます。

さらに、その他、地区計画の目標、その区域の整備・開発・保全の方針、及び地区整備計画を定めます。

なお、地区計画を都市計画に定める際、その地区計画の全部または一部について、地区整備計画を定めることができない特別の事情があるときは、地区整備計画を定めなくてもかまいません

ちなみに、地区整備計画とは、地区計画を実現するための具体的な実行プランのことであり、地区施設(主として街区内の居住者などの利用に供される道路、公園などの施設)および建築物などの整備ならびに土地利用に関する計画をいいます。

 

では、最後に再開発等促進区について解説していきます。

~再開発等促進区~

(1) 再開発等促進区の創設

地区計画の区域の全部または一部に、合理的かつ健全な高度利用と都市機能の増進とを図るため、一体的かつ総合的な市街地の再開発、または開発整備を実施すべき区域として、再開発等促進区を定めることができます。

(2) 再開発等促進区を定めることのできる区域の要件

①現に土地の利用状況が著しく変化しつつあり、または著しく変化することが確実であると見込まれる区域であること

②土地の合理的かつ健全な高度利用を図る上で必要となる適正な配置および規模の公共施設がない区域であること

③土地の高度利用を図ることが、都市の機能の増進に貢献すること

用途地域が定められている地域であること

(3) 再開発等促進区が定められた場合の効果

再開発等促進区が定められた地域では、一定の場合には、容積率制限、建ぺい率制限が緩和され、また、斜線制限、用途制限が適用されません。

これによって、効率的な再開発などを行うことができるのです。

やや難しい単語が並んでいますが、要は建築基準法に縛られずに弾力的な開発が可能であるということです。

(4) 地区計画区域内での規制

地区整備計画が定められた地区計画の区域においては、地区計画の実行が間近に迫っているので、その実行が妨害されないように、一定の行為について届出義務が課されています。

すなわち、地区計画の区域のうち、地区整備計画が定められている区域内で一定の行為(土地の区画形質の変更、建築物の建設、その他政令で定める行為)をする場合は、原則として、その行為に着手する日の30日前までに、一定事項を市町村長に届け出なくてはなりません

もし、その届出が地区計画に適合しない場合は、市町村長は、計画変更の勧告をすることができます。もっとも、この勧告は、あくまで強い要望であって、強制力は持ちません。

また、以下の場合は、届出が不要となります。

通常の管理行為、軽易な行為

非常災害のため必要な応急処置として行う行為

国または地方公共団体が行う行為

都市計画事業の試行として行う行為またはこれに重ずる行為

開発許可を要する行為

この手続きは、届け出た内容を変更する場合も同じです。

 

備考:この章は宅建においてかなり重要で、過去に宅建主任者試験に出題されたことがよくあります。地区計画全体を理解するよりも、届出制を中心に学習した方が、宅建主任者試験での得点率が上がるかもしれません。

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