今度は市町村の場合を見ていきましょう。
1.市町村の決定手続
(1)市町村の決定手続
市町村の都市計画決定手続は、都道府県の場合とほぼ同じ手続きです。
①市町村マスタープランの作成
市町村は、議会の議決を経て定められた、その市町村の建設に関する基本構想、ならびに、都市計画区域の整備、開発および保全の方針に則して市町村の都市計画に関する基本方針(市町村マスタープラン)を定めなければなりません。
市町村が、市町村マスタープランを定めるときは、あらかじめ公聴会の開催など住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければなりません。
そして、市町村が定める個々の都市計画は、この基本方針に即したものでなければなりません。
この市町村マスタープランの作成が、市町村と都道府県の都市計画決定手続の大きな違いです。
②原案の作成
a. 都市計画の案を作成する際、必要と認めるときは、公聴会の開催など住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとされています。
b. ただし、地区計画等の案については、意見の提出方法等について条例で定めるところにより、その案にかかる区域内の土地の所有者等利害関係を有する者の意見を求めて作成しなければなりません。
c. 市町村は、上記の条例において、住民または利害関係人から、地区計画等に関する都市計画の決定、もしくは変更、又は地区計画等の案のない世湯となるべき事項を申し出ることを定めることができます。
③公告と縦覧および意見書の提出
a. 公告と縦覧
市町村は、都市計画を決定しようとするときは、あらかじめその旨を公告し、都市計画の案を、公告の日から2週間、公衆の縦覧に供しなければいけません。
b. 意見書の提出等
都市計画の案について公告があったときは、関係市町村の住民および利害関係人は、縦覧に供された都市計画の案について、市町村に意見書を提出することができます。
なお、特定街区に関する都市計画の案については、利害関係を有する者の同意を得なければなりません。
また、遊休土地転換利用促進地区に関する都市計画の案については、遊休土地転換利用促進地区内の土地の所有者等の意見を聴かなければなりません。
④都市計画の決定
a. 市町村は、市町村都市計画審議会(市町村に市町村都市計画審議会が置かれてないときは、その市町村の存する都道府県の都道府県都市計画審議会)の議を経て、都市計画を決定します。
b. 市町村は、都市計画区域または準都市計画区域について都市計画を決定しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議し、その同意を得なければなりません。
⑤都市計画決定の告示、図書の写しの送付
市町村は、都市計画を決定したときは、その旨を告示するとともに、国土交通大臣および都道府県知事に、都市計画に関する総括図、計画図および計画書(これらを図書といいます)の写しを送付しなければなりません。
2.都市計画の効力発生時期
都市計画は、告示があった日からその効力を生じます。
3.都市計画決定手続に対する条例による付加
市町村は、住民または利害関係人にかかる都市計画の決定の手続に関する事項について、条例で必要な規定を定めることができます。
備考:この章は宅建において重要です。基本的にあまり都道府県の都市決定計画手続と変わりないので、宅建主任者試験のためにも、さくっと覚えてしまいましょう。