法というのは時間の流れと共にその内容を変えるものです。
住民の街づくりへの関心が高まる中で、都市計画に対する関心も高まっており、街づくり協議会などの、地域住民が主体となった街づくりに関する取り組みが多く行われるようになっています。
このような動きを踏まえて、都市計画法では、住民等の自主的な街づくりの推進や、地域の活性化を図りやすくするため、街づくりに関する都市計画の提案制度が創設され、さらに近時の改正で、その提案をできる者の範囲が拡大されました。
1.提案できる者
①土地所有者(1人または数人共同して)
②対抗要件を備えた借地権者(1人または数人共同して)
③街づくりの推進を図る活動を行うことを目的として設立された特定非営利活動法人
④公益法人、その他の非営利法人
⑤独立行政法人都市再生機構
⑥地方住宅供給公社
⑦街づくりの推進に関し経験と知識を有する者として国土交通省令で定める団体
⑧上記の③~⑦に準ずるものとして地方公共団体の条例で定める団体
2.提案できる区域
都市計画の提案は、原則として、都市計画区域または準都市計画区域のうち、一体として整備し、開発し、または保全すべき土地の区域としてふさわしい0.5ha以上の一団の土地の区域について、することができます。
3.提案できる内容
都道府県、または市町村に対して、都市計画(都市計画区域jの整備、開発および保全の方針、ならびに都市再開発方針などに関するものを除きます)の決定、または変更をすることを提案できます。
つまり、方針以外の都市計画を提案することができます。
4.提案に必要な要件
都市計画を提案するためには、0.5ha以上の一体的な一団の土地の区域であることのほか、以下の2つの要件を満たさなければなりません。
①計画提案にかかる都市計画の素案の内容が、都市計画基準などの法令の規定に基づく都市計画の基準に適合すること
②計画提案にかかる都市計画の素案の対象となる土地の区域内の土地所有者・借地権者の人数および面積の2/3以上の同意を得ていること
5.都道府県、または市町村の判断など
都道府県、または市町村は、計画提案が行われたときは、遅滞無く、計画提案を踏まえた都市計画(計画提案にかかる都市計画の素案の内容の全部または一部を実現することとなる都市計画)の決定、または変更をする必要があるかどうか判断し、都市計画の決定、または変更する必要があると認めるときは、その案を作成しなければなりません。
6.都道府県都市計画審議会等への付議
都道府県、または市町村は、計画提案を踏まえた都市計画(計画提案にかかる都市計画の素案の内容の全部を実現する者を除きます)の決定、または変更をしようとする場合において、都市計画の案を都道府県都市計画審議会、または市町村都市計画審議会に付議しようとするときは、都市計画の案にあわせて、計画提案にかかる都市計画の素案を提出しなければなりません。
7.決定などをしない場合の措置
都道府県、または市町村は、計画提案を踏まえた都市計画の決定、又は変更をする必要がないと判断したときは、遅滞無く、その旨およびその理由を、計画提案をした者に通知無くしなければなりません。
なお、この通知をしようとするときは、あらかじめ、都道府県都市計画審議会、または市町村都市計画審議会に、計画提案にかかる都市計画の素案を提出して、その意見を聴かなければなりません。
備考:この章は宅建において重要です。意見を聴くのか議を経るのか、ごっちゃにならないように気をつけましょう。